家族、というものは兎角、閉鎖空間かつ、自分が属する『家族集団』が一番正しい、と言うか他と比べてもわからない特殊さを秘めている。
そんな事はよく言われる事なのですが。
そして、家族と言うのは、生まれながらに掛けられた呪い(のろい、じゃなくてまじない)の一種だとも思うわけですが。一生解けない呪い。
『家族なんだから』
こんな書き方をすると、なんらかの理由で家族を亡くされた方や、別れざるを得なくなった方に失礼なのでこれ以上はやめます。
今日のオススメ絵本は
『ラヴ・ユー・フォーエバー』
(ロバート・マンチ 作 乃木りか 訳 梅田俊作 絵 岩崎書店 平12)
です。
本には『親子の愛情のきずなを静かに語って感動を呼ぶアメリアの超ベストセラー』
と書いてあります。
内容は簡単に言うと、母親と息子の絆の話です。
母親は
息子が赤ちゃんの時から大人になって自分が老人になるまで、ずっと
アイ・ラブ・ユー いつまでも
アイ・ラブ・ユー どんなときも
わたしが いきている かぎり
あなたは ずっと わたしのあかちゃん
と歌って、息子を愛し続けるというものです。
……えっと、これ。小さい時は感動なんですが。
どんなやんちゃをしても、寝顔は愛らしい。
そして、息子をどこまでも守ろうとする母の愛。
ここは素直に感動できます。
しかし、息子が独り立ちして隣町に住んだ息子の家に夜中に車で押しかけて、息子のベッドの側まで行き、息子を抱きしめて、上の歌を唄う。
年を取り、結婚しただろう息子を電話で呼びつけて会いたいと……言うのはまだ、良いとして、同じ歌を歌おうとし続ける。
怖い。読んだ瞬間、背筋がぞくっとしました。
感動……というか、ここまで息子に執着してたらホラーでしょう。
自分の旦那はどうした。息子のガールフレンドや嫁はどうした。
息子は最後のページで赤子の自分の娘を抱いて歌を歌うので、結婚しているのでしょう。しかし、嫁が一片たりとも出て来ません。
旦那(息子の父親)と妻(母親からみたら息子の嫁)、この二人の存在がすっかり欠落して、母親と息子の二人の世界です。
子どもの頃ならともかく、大人にあってからもこんなべったり親子だったら、マザコンを越えて、有責離婚の原因になりかねません。
素直に母親と息子に感動できずに、自分の結婚相手がこんなんで、義母が寝室に入ってきて歌を歌い出したら、私なら絶対離婚だな。
感動する前にそんな事を考えるのは某巨大掲示板の家庭板の読みすぎでしょうか?
これは様々な人の感想を聞いてみたい絵本の一冊です。
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(小川知里)
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